2024-01-01から1年間の記事一覧

山本直人『亀井勝一郎』(ミネルヴァ書房2023)を読む

山本直人『亀井勝一郎』(ミネルヴァ書房2023)読了。『大和古寺風物詩』(新潮文庫)などを除き、あまり読まれない批評家となっている。亀井勝一郎Who?という人のために本書の出版社によるコピーをアレンジして紹介する。 亀井勝一郎(1907−66) 北海道函館出…

大井赤亥『政治と政治学のあいだ 政治学者、衆議院選挙をかく闘えり』(青土社)について

大井赤亥『政治と政治学のあいだ 政治学者、衆議院選挙をかく闘えり』(青土社)読了。政治の「学」としても、政治の「実践」としても、とてもおもしろかった。全3部構成の「第I部 1993年体制をめぐって」は大井さんの『武器としての政治思想』『現代日本政治…

岡崎文吉の墓と生前墓

【岡崎文吉の墓と生前墓】 「石狩川治水の祖」と言われ晩年は茅ヶ崎で過ごした岡崎文吉(1872-1945)が葬られたのは杉並区永福駅近くの法華宗の理性寺(りしょうじ)である。今日、茅ヶ崎岡崎文吉研究会の有志とここを訪ね、雨の中、香華を手向けた。捧げられた…

有島武郎と足助素一:札幌の貸本屋独立社とその系譜

【有島武郎と足助素一:札幌の貸本屋独立社とその系譜】 藤島隆『貸本屋独立社とその系譜』(北方新書、北海道出版企画センター、2010)。 本書は、第一部「貸本屋独立社とその系譜」と第二部「北海道の貸本屋と図書館」との二部構成となっている。このような…

タコ部屋の飯を食った作家佐左木俊郎(つづき)

【タコ部屋の飯を食った作家佐左木俊郎(つづき)】 文芸誌『新潮』の編集に携わった楢崎勤(1901−78)に『作家の舞台裏:一編集者のみた昭和文壇史』(読売新聞社、1970)がある。そこに、小林多喜二の作品『蟹工船』『不在地主』についての佐左木俊郎の評価が…

タコ部屋の飯を食った作家佐左木俊郎

【タコ部屋の飯を食った作家佐左木俊郎】 「見そこなうな。おれは、北海道でたこ部屋の飯をくった男だぞ」 ーーこう凄んだのは、わたしの遠縁の新潮社編集者兼作家の佐左木俊郎(1900-33)である。同じく新潮社に勤めていた和田芳恵の『ひとつの文壇史』講談社…

更科源蔵『凍原の歌』の〈戦争詩〉をめぐって

沼田流人『監獄部屋』の1928年発禁〜29年改訂版発行について、当時の内務省検閲官を務めた詩人の佐伯郁郎についてSNSで発信したところ、北海道立文学館の理事・青柳文吉さんから論考「更科源蔵『凍原の歌』の〈戦争詩〉をめぐって」を送っていただいた。これ…

沼田流人『監獄部屋』1928年の発禁をめぐって

【沼田流人『監獄部屋』1928年の発禁をめぐって】 沼田流人の『監獄部屋』(金星堂、1928年5月)は発禁となった。こんにち、その発禁となった『監獄部屋』の内務省検閲本が、国立国会図書館デジタルライブラリーにより無料で、またAmazonKindle版により有料で…