倶知安の作家沼田流人のこと

 f:id:Takeridon:20231120003140j:image札幌から帰った12日から1週間余、倶知安の作家である沼田流人(1898-1964)に没頭していました。北海道のタコ部屋(監獄部屋)を描いた岩藤雪夫「吹雪」について書いたSSN拙文について、岡和田晃氏から沼田流人『監獄部屋』があることを教えられ、その1週間も経たないうちに、『存在の淋しさ 有島武郎読書ノート』(共同文化社)の著者である梅田滋氏に札幌でお会いした時、喜茂別に住まいの氏が倶知安の作家である沼田流人を話題にされて、その偶合に驚いた次第です。
 司書職の新谷保人氏がその「人間像ライブラリー」において、沼田の作品および関連の文献を電子化されていることを梅田氏から教えていただき、それも含め、下のリストにあげたように、沼田の作品および関連文献の主要なものに目を通しました。沼田流人をどう捉えるかについては、読後感の発酵を待って整理できれば、と思っています。
 ひとつだけ記しておきます。『種蒔く人』東京版創刊号(1921.10.3)に沼田流人の小説「三人の乞食」が掲載されていることには驚きました。かねて『種蒔く人』については関心を持ちながら、全く見落としていましした。
 沼田は有島武郎と手紙のやり取りをしていたようです。沼田の倶知安、有島の狩太。羊蹄山の麓にある、有島および沼田ゆかりの地を訪ねてみたいと思いました。

【読書リスト】
「三人の乞食」『種蒔く人』東京版創刊号 1921年(大正10年)ーー人間像ライブラリー
『血の呻き』叢文閣1923年(大正12年)6月ーーNDLデジタルコレクション
キセル先生」1925年1月小樽新聞ーー人間像ライブラリー
「地獄」『改造』1926年(大正15年)9月(北海道文学全集 第6巻 、1980(昭和55)年6月に再録)ーー未読
『監獄部屋』―金星堂1929年(昭和4年)2月ーーAmazon Kindle
「監獄部屋の人々」『日本残酷物語 第五部』平凡社1960ーー人間像ライブラリー

佐藤瑜璃「父・流人の思い出』 防風林1987(昭和62)年7月~1992(平成4)年4月連載ーー人間像ライブラリー
武井静雄「沼田流人小伝」防風林1990(平成2)年1月~1991(平成3)年10月連載ーー人間像ライブラリー
武井静雄「沼田流人伝」防風林1992(平成4)年3月発行ーー人間像ライブラリー